GTH7周年記念作品、三つのラブ・ストーリーのオムニバス/「セブン・サムシング」

セブン・サムシング/Seven Something


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 GTH社(GMM Tai Hub Co., Ltd.,)の創立7周年記念作品(この7周年というのは、2004年が基準になっている。GTH社はタイの大手エンターテイメント会社のGrammy系の映画会社で、「ジーエムエムグラミー(GMM GRAMMY)」、「タイ・エンターテインメント(Thai Entertainment)」、「ハブ・ホ・ヒン・フィルム(HUB-HO-HIN FILM)」が合併してできた会社)。三つのラブ・ストーリーのオムニバス作品。韓国のアイドル・グループ2PMのメンバーで、タイ人の父とアメリカ人の母を持つニチクン・バック・ホルベチクル(ニックン)が映画初出演していることでも話題となった。多くのゲスト出演者がいて、見つけるのが楽しい。


【14】   ★★★
 ハイ・ティーンの学生プアン(チラーユ・ラオーンマニー)とミル(スタッター・ウドムシン)の愛とソーシャル・メディアの物語。プアンとミルは恋人同士でうまくいっていたが、プアンはミルと付き合っている様子を写真や動画でソーシャル・ネットワーク(SNS)にアップしたことから二人の間が・・・というストーリー。
 チラーユ・ラオーンマニーは、日本でも劇場公開された「THE KING 序章 ~アユタヤの若き英雄~(King Naresuan Episode1)」<2007年>では準主役ともいえるプララーチャマヌー(พระราชมนู)の子供時代を演じていた。日本の映画祭で上映された「ラスト・サマー(Last Summer)」<2013年>、「サック・シード(Suck Seed !!)」<2011年>では、主演を演じた人だ。
 スタッター・ウドムシンは、若いながら大ヒットホラー「ラッダー・ランド(Ladda Land)」<2011年>でスパンナホン賞・助演女優賞を取った人だ。日本の映画祭で上映された「ラスト・サマー」では、チラーユ・ラオーンマニーと共演している。作中でマンダリンを弾きながら歌を歌うシーンがあるが、本人が歌っているのであろうか?
 ゲスト出演者もすごい。サヤーム・スクエアーで主演の二人が記念撮影しているところに突然現れた芸能人は、ラッチャウィン・ウォンウィリヤとアーラク・アモンパシリだ。その二人が以前は付き合っていたのだが、今では別れているという設定もおもしろい。そして、コーンポープ・チャンチャルーンも、天使のアーティスト役で出てくる。それから、回転寿司店内でスマートフォンで動画を観ているのは蒼井そらだ。BTSの車内で動画を観ていたのは、有名になる前のアッタルット・コンラーシーか?また、声は吹替えられているが、日本で公開された「フェーンチャン ぼくの恋人(Fan Chan /My Girl)」<2003年>のシーンも使われている。
 全体的に若々しい感じが出ているのは、いかにもGTH作品らしい。安易にSNSを利用する問題(危険性)を描いた作品でもある。ただ、オムニバスであるとはいえ、あの終わり方はちょっとなという感じになっている。このカップルがどうなるかは観客の判断に任せるということなのであろうが、尻切れトンボのような気がする。
 パウィーン・プーリチットパンヤー監督には「フォウビア 2(Phobia 2)」<2009年>の中の「Novice(見習い僧)」、「フォウビア(Phobia)」<2008年>の中の「Deadly Charm」、「ボディー(Body)」<2007年>などの作品がある。タイトルの「14」というのは、おそらく14歳という意味。

【21/28】   ★★
 水族館に勤めるダイバーのチョーン(サンニー・スワンメターノン)と女優メーム(クリット・ホーワン)の21歳の時と28歳時に再会した際の物語。
 全体的には、ちょっと物足りないかなという感じだ。7年前と現在の場面が激しく入れ替わるので、少し観づらい気もする。おそらく、それゆえクリス・ホーワンの現在の時は、髪の毛の色を目立つように染めていたのであろう。ラストも盛り上がりに欠ける気がする。
 物語のメイン舞台となった水族館は、バンコクのショッピング・モール「サヤーム・パラゴン(サイアム・パラゴン)」内にある「サヤーム・オーシャン・ワールド(サイアム・オーシャン・ワールド/Siam Ocean World)」。サメのいる水槽の中で、ダイビングなどをすることもできる場所だ。
 サンニー・スワンメターノンは作品中でだぶついた体を見せているが、あれは本当に彼が役作りのために太ったのだとか。彼のファンにとってはショックであろうが、あの体は一見の価値がある?また、彼は泳げなかったのだが、この作品のために練習したらしい。彼は、日本の映画祭で上映された「ディアー・ダーカンダー(親友/ディアー・ダカンダ/Dear Dakanda)」<2005年>などに出演している。
 髪の毛の色を何回も変えて登場してくる主演女優のクリット・ホーワンは、日本の映画祭で上映された「ヘッドショット(Headshot)」<2011年>、「バンコク・トラフィック・ラブ・ストーリー(Bangkok Traffic Love Story)」<2009年>などに出演しているので知っている人もいるであろう。タイでは大人気の女優である。
 ゲスト出演は、映画のオーディション会場に来たのがヌンティダー・ソーポンとパッタラサヤー・クルーアスワンシリ、プリーチャヤ・ポンタナーニコン。映画賞の授賞式の会場にいたのは、チャンタウィット・タナセウィーとポンサトーン・チョンウィラート。そして、その時司会をしていたのがチャルームポン・ティカマポーンティラウォン。ヌンティダー・ソーポンのスクリーン登場は、デビュー作の「アンニョン! 君の名は(Hello Stranger)」<2010年>以来だ。
 アディソン・トリーシリカセーム監督には、日本で劇場公開された「フェーンチャン ぼくの恋人(Fan Chan)」<2003年/※共同監督>、日本の映画祭で上映された「バンコク・トラフィック・ラブ・ストーリー(Bangkok Traffic Love Story)」<2009年>や「ビター・スイート ボイド・ポッド ザ・ショート・フィルム(BitterSweet BoydPod The Short Film)」<2008年>の中の「ノーン・ウーイ」などの作品がある。
 原題の「21/28」とは、「21歳と28歳」を意味している。

【42.195】   ★★★
 愛する夫に先立たれた中年女性(スークワン・ブーンクン)と青年(ニチクン・バック・ホルベチクル)のマラソンを通してのラブ・ストーリー。
 主演の映画初出演コンビがなかなかいい。スークワン・ブーンクンはつらい人生を送って来たという感じがよく出ているし、ニチクン・バック・ホルベチクルはちょっと不思議な風貌だが(整形しまくり説がある)、青年の気持ちの暖かさが出ている。スークワン・ブーンクンは、本物のニュース・キャスターなのだそうだ。この作品への出演がきっかけかどうかは分からないが、化粧品のコマーシャルにも出演している。作品的にもまとまっていて、本オムニバス三作の中では一番いいのではないだろうか。
 物語の舞台となっているマラソンの練習コースは、バンコクのルムピニー公園。原題の「42.195」とは、マラソン・レースの走行距離(km)のことである。
 日本では、第8回大阪アジアン映画祭で上映された。チラ・マリクン監督には、日本の映画祭で上映された「メコン・フル・ムーン・パーティー(Mekhong Full Moon Party)」<2002年>や「ティン・マイン(The Tin Mine)」<2005年>などの作品がある。


 GTH社の作品にはいい作品が多いのだが、この作品全体としてはいまひとつという感がある。タイのエンターテイメント・サイトSiam Zoneのユーザー評価でも7.88点(満点は10点。投票数107。2012年12月15日現在)とあまり高くないので、タイの人たちの評価もそうなのだろう。
 興行成績はUS$2,194,362と数字だけ見ればいい数字だが、ヒット・メーカーのGTH社が大宣伝をかけた結果としては納得がいかない数字であろう。作品のエンド・ロールにも使われているが、女性歌手ダー・エンドーフィン(ดา เอ็นโดรฟิน)の歌う豪華出演者によるMV(作中とは若干内容が違う)がいい。日本版DVDの発売は、竹書房。



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「カンボジア」 Cambodia

戦火の中で少年はカンボジア人であることをさとっていく


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 ベトナム軍のカンボジア侵攻時が描かれているので、時は1975年。カンボジアの少年は両親をベトナム軍の攻撃で失い、父の言いつけに従い幼い妹を背負ってタイとの国境を目指す。その過程で、ベトナム軍に捕えられたり戦闘に巻き込まれたりしながらカンボジア人としての自覚に目覚め、カンボジア領内にに残って敵と戦うことを決意するというストーリー。
 火あぶりにしたり銃殺シーンをまともに見せるなど、結構残虐に描かれている。ラストシーンの少年の姿は残酷極まりない。さて、この作品がどこまで史実と合っているかという点だが、かなり違っているのではないだろうか?まず、ベトナム軍は一般市民を皆殺しにしながら進軍はしていないと思われる。また、当時のカンボジアはポルポトが率いるクメール・ルージュの支配下であったはず。カンボジアの農民たちが普通の生活をしていたかのように描かれているのは変でしょう。ベトナム軍が毒ガスを使っていたが、そういう事実はあったのであろうか?タイの映画なので仕方ないが、カンボジアからの難民をタイがカンボジア領内に追い返したシーンは描かれていない。
 作品のできとしてはかなり荒っぽい。監督は、日本でもDVD化された迷作「2022」<2009年>を監督したトラノン・シーチュア。


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「ソンクラーム・カップ・クワーム・ラック」 Song Krarm Kub Kwam Ruk

恋人を救うために、ポルポト政権下のカンボジアへ


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 ポルポト政権下?のカンボジアを舞台にしたラブ・ストーリー。西洋人のアンディーは国外退去になるも、カンボジア人の恋人を助けようと軍隊で訓練を受けカンボジアに潜入するというストーリー。
 ストーリーはかなり安易。現実的にはまったく無理な内容だ。作品の出来もかなり雑。しかし、お金をかけているのであろうか?ハリウッド・スターが出演している。アメリカの第二次世界大戦を描いたTVドラマ「ラット・パトロール(The Rat Patrol)」で人気を博したクリストファー・ジョージが司令官のマッカーサー役で出ている。その他、主演のアンディー役であるロバート・ウォーカー Jr.とウッディー・ストロードもハリウッド・スターだ。当時、タイの映画にハリウッド・スターが出るってかなりのことなのでは?タイからは、人気スターのソラポン・チャートリーが出演している。
 VCDで見たのだが、原板がかなり傷んでいるらしく画面には雨が降っていて音声も悪い。そして、夜のシーンは画面が暗過ぎて何が何だか分からず、音だけが聞こえているような具合だ。原題は「戦争と愛」。


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 初めてタイ映画を見たのは、東京の渋谷で行われたタイ映画祭。そこで「サラシン橋心中」など社会派作品を見てタイ映画もやるもんだと思ったのですが、その次にタイ映画に出会ったのは何年も後のことで国際線の飛行機内でやっていた「マッハ」。これすごいぞと思ったのでずか、そこまででした。そして仕事の関係で「アタックナンバーハーフ」を見なければならなくなり、いつの間にかタイ映画に病みつきに・・・。

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