アズ・イット・ハプンズ / As It Happens

ラブ・コメディー。巡り合いそうで巡り合わない二人。そしてついに二人は愛を確かめ合うのだが、運命の神のいたずら?により・・・という内容。構想は結構おもしろいのだが、タイ映画の常でストーリー展開とひとつひとつのシーンの描き方がちょっと雑なのが残念。この内容、日本でリメイクしたらうけると思うのだが。
Pik役である主演女優のナッタウィーラヌット・トーンミー(チャー)がコミカルな演技でいい。彼女は若く見えるが、1979年生まれなので30歳。「心霊写真(Shutter)」<2004年>などにも出演している。
タイ映画では珍しく海外ロケをオーストリア、ハンガリー、韓国で行っている。韓国では、なぜか日本主催の大食い大会にPikが出ている。タイ国内でも、いろいろと地方でロケを行っているようだ。恋占いのタイ版こっくりさんが出てくるのもおもしろい。
原題は「偶然に・・・愛は終わらない」と訳すのであろうか?英題の意味もよく分からないが、原題からすると「たまたま」と訳すのか?
「タイ映画ライブラリー」
アート・オブ・デビル / Art of the Devil

タイお得意の霊が出てくるホラーものかと思いきや、呪術のホラーものであった。といっても、霊が出てこないわけではないが。時系列がしっかり表現されていないために、前半のストーリー展開が分かりにくい。それにしてもなぜ、ひどい仕打ちをした相手の家族への復讐よりも家の所有権が欲しいのか?そして、金髪の子供の霊はいったい何者であったのか?わからないことが多過ぎる。苦しい内容だ。「セマ・ザ・ウォリアー」のサニット・ジトヌクル監督作品。日本未公開作。こんな作品でもシリーズ化されている。
「タイ映画ライブラリー」
シークレット・サンデイ(9 ワット) / Secret Sunday(9 Wat)

ホラー・タッチの人間ドラマといったところだろうか。カルマを扱ったもので、ナット(ジェームズ・マッキー)は母親に言われ、恋人のヌン(シラパン・ワッタナチンダー)、友人の僧侶(パーラドン・シラコーウィット)らと共に9つの寺をタンブンをするために回ることになる。そして、三人の結びつきが明らかに…というストーリー。
白と黒だけでデザインされたタイトルバックで始まり、本編も色調を抑えて描かれており映像の雰囲気はおもしろい。ただ前半はあまりホラーらしくなく、9つのそれぞれのお寺でエピソードがあるわけでなくてほとんど車を停める程度のものなので、ストーリー的には物足りない。実際に、ワット・パーパイ、ワット・コンカラーム、ワット・ポーパイロート、ワット・ナーンケーオ、ワット・ルム・ディン(以上、ラーチャブリー県)、ワット・フアクワン、ワット・ライヒンルアン、ワット・コ・ワールカラーム、ボークルアシンタオ(以上、ラムパーン県)の9つの寺院でロケを行っている。
主演の三人がいい味を出しており、特に色調を抑えた映像の中にあって金髪のシラパン・ワッタナチンダーはかなり印象的だ。ジェームズ・マッキーは初主演作。原題は「9つの寺院」。
「タイ映画ライブラリー」
ビッグ・ボーイ / Big Boy

B-Boy(ブレイク・ダンスを踊る人のこと)の物語。チェンマイに住むポー(トニー・ラークケーン)は、ブレイク・ダンスがうまくなりたくてバンコクにいる祖父のプープン(セーター・シラチャヤー)の元に転がり込む。プープンは歳は取ったが根っからのプレイボーイで…というストーリー。
バンコクに出てきた少年ポー役のトニー・ラークケーンとちょっと謎を秘めた少女ニウ役のラタナーラット・ウアットウィクンは新人。トニーは吹き替えなしでブレイク・ダンスを踊っているとのことだが、踊りがクライマックスに達するとほとんどがスローモーションになってしまってテンションが落ちてしまう。これは逆効果でしょう。ニウ役のボーイッシュな女の子ラタナーラット・ウアットウィクンがなかなか魅力的だ。祖父プープン役のセーター・シラチャヤーもいい味を出している。
ストーリーはいま一つの感じが強い。ただのブレイク・ダンスのうまさの競争だけでなく祖父の人生を重ね合わせたのはいいのだが、残念ながら描ききれていない。ダンスが全く下手で努力もしないのに突然うまくなったり、交通事故で瀕死の重傷だった人が(時間が経った設定ではあったが)次の場面では完全に復活していたりと脚本の雑さはどうしても感じてしまう。
ただの娯楽作品ではなく、人間ドラマとして仕上がっている。
「タイ映画ライブラリー」
アンダマン・ガール / Andaman Girl

低予算の映画撮影隊が、ロケーションのためにチャーター・バスでタイ南部を目指す。しかし、起用した主演女優(スパックソーン・チャイモンコン)は、実は父が決めた結婚相手から逃げてきたマフィアの親分の娘であった…というストーリーのコメディー作品。
撮影部隊が目指した最終的な場所はラノーンという設定らしいが、ここに着くまでに数々のゲリラ撮影を行うのだが、これがなかなかおもしろい。ヒッチハイクをしている西洋人を見つけるや車に乗せることを条件に俳優として撮影に参加させたり、葬式があると知るやその会場に知人のふりをして潜入し、映画の場面として撮影してしまったり。この葬式の時、スパックソーン・チャイモンコンが大きく胸のところが開いた黒い喪服で乱入してくるのだが、これがかなり色っぽくていい。
だが残念ながら、ラノーンについてからがテンポが悪くなりパワー・ダウン。ピー(霊)のエビーソードは意味が分からないし、最後の作品の総仕上げであるマフィアの娘の結婚の行方はあっけなく片付いてしまった。これでは落ちのない漫才のようなものだ。
とはいえ、それなりにはばかばかしいお笑いを楽しめます。主演のスパックソーン・チャイモンコン(愛称はクラテー
原題は「くすぐる」という意味。英題の「Andaman Girl」とは、ラノーンが面しているアンダマン海からとったと思われる。監督は「アート・オブ・デビル」<2004年>のタニット・チットヌクーン。
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密林のアマゾネス / Amazon Ghost

宣伝のコピーによると、「大ヒットした謎の作品。アマゾンに行け」だそうだ。密林の中にあるというアマゾン・シティーへ、行方不明の父親を捜しに行くというお色気ホラーもの。できはよくありません。大ヒットしたって?ウソでしょ!!!
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アローン / Alone

「心霊写真(Shutter)」<2004年>を監督したパークプーム・ウォンプーム&バンジョン・ピサンタナクーン監督のホラー作品。コメディー・タッチな部分のないまじめな?ホラーだ。「心霊写真」よりも怖くてストーリもしっかりしている。出来はこちらの方が数段上だ。
作品は、ホラーらしいなかなかいいムードの音楽で始まる。タイトルバックで「Phenomena」という文字が出てくるが、これは英題ではなくプロダクションの名前。英題は「Alone」。原題の「フェート」とは双子をのこと。いわゆるシャム双生児だ。作品の冒頭では主演者と作品を観ている者へのサプライズが待っているのだが、こちらは違う意味でびっくりしてしまった。タイ映画だと思っていたのに、セリフが韓国語だったのだ。なんで韓国語?と思っていたら、かかってきた電話にタイ語で答えている。これって??その答えはそのあとすぐにわかるのだが。作品の最後にも、ストーリー的にちょっとしたサプライズが用意されている。
全体的には、タイにしては比較的上質なホラーといえる。欠点はというと、霊の姿がイマイチなことかな。
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ゴースト・ハンター・プロジェクト / The Ghost Hunter Project

ホラー・コメディー。霊を扱ったドキュメンタリー映画の撮影隊のバスが故障し近くの村に助けを求めに行くが、そこは・・・というストーリー。ピー・ポープものでポープ役者のナタニー・シッティサマーンも出演しているが、内臓を食べるシーンはない。
残念だが、笑えないしストーリーもなんだかはっきりとしない。そしてラストも、ちゃんとストーリーをまとめ上げていない。霊媒師の息子役をやっていた子がちょっと不思議そうな感じで、彼をもっと有効に使えばおもしろくなったと思うのだが。物足りなさだけが大きく残った作品だ。DVDの定価が259B(約780円)と、タイのDVDとしては結構高いのはなぜだろう?原題は「霊を避けろ 霊は逃げない」と訳すのか?
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アフタースクール / After School

アーティストを目指す高校生バンドの青春ミュージカル。もう少し作品に元気さがあったらいいのだが。ミュージカルなのだから、もっと大人数で歌って踊るシーンがあってもいいと思う。それとストーリーの組み立てが荒い。たとえば、なぜか小さな子供が拳銃を持っていてそれが暴発して子供の頭に当たる?のだが、その子供は死にそうになりながらも全快するというのはいくらなんでも安易であろう。ベンツが金持ちの象徴として何回も出てくると思ったら、映画に協力していた。主演のマナーオ役のApinya Sakuljaroensukは「ブンチュー9(Boonchoo 9 )」<2008年>などに出演している。原題は「夢に向かって走れ」。
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オッド・カップル / The Odd Couple

アクション・コメディー。殺人を目撃してしまい命を狙われるオカマさん(マム・チョクモク)と日本から犯人を追ってきた刑事?(大関正義)が、殺人犯との死闘を繰り広げるという内容。準主役を務める大関正義(英語表記やタイ語表記ではそうはなっていないが、「おおぜきせいぎ」と読む)は、タイ在住の日本人男優で「ヤマダ・ザ・サムライ・オブ・アヨタヤ(Yamada the Samurai of Ayothaya)」<2010年>では山田長政役を演じている。彼は、本作品が映画デビュー作だと思われる。
コメディー作品だと思って見始めたらなんだか本格的アクション映画タッチで始まり、でも、コメディーだったという冒頭が変わっている。ストーリーは全然大したことないのだが、結構笑わせてくれておもしろい。美人ではないが、マム・チョクモクのオカマ役もいける。ポスターを見たとき、オカマさんがマム・チョクモクだとは気付かなかった。英題は「奇妙なカップル」。原題は直訳すると「サイ(動物)のカップル」だが、何かの比喩か?
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