「メー・ナーク」を扱った正統派ホラーといったら「ナンナーク」/「愛しのゴースト」特集2

「メー・ナーク」を扱った正統派ホラーといったら「ナンナーク」
「愛しのゴースト」特集2


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 「愛しのゴースト」特集2。「メー・ナーク」を扱った正統派ホラーといったら、やはりこの作品「ナンナーク(Nang Nak)」<1999年>です。できれば、「愛しのゴースト」を鑑賞前に、この作品を観ると比較できておもしろいと思いますよ。ぽすれんでレンタル可能です。

 ホラー作品。バンコクのプラカノーン地区に住む夫マーク(ウィナイ・クライブット)とその妻ナーク(インティラー・チャルーンプラ)の若夫婦。ナークは妊娠するが、マークは徴兵され家を離れることとなる。ナークはマークが戻らないうちに出産しなければならなくなるが、難産となり母子ともども死んでしまう。やがて、兵役から帰って来たマークをナークは子供と共に家で温かく迎えた。そう、ナークと子供は幽霊となって夫の帰りを待っていたのである。二人は幸せな暮らしを取り戻すが、村人たちはナークが幽霊であることをマークに伝えようとする。ナークは、二人の暮らしを邪魔しようとする村人たちを襲い始め・・・というストーリー。
 Thai Entertainment社作品。タイではだれもが知っているというとても有名なホラー伝説で、多くの人が実話だと信じている(この作品の日本公開時、「語り継がれる愛の実話」というキャッチ・フレーズが使われている)という「メー・ナーク・プラカノーン」を映画化した作品。「メー・ナーク」とは「ナークお母さん」という意で、本作のタイトルである「ナーン・ナーク」とは「ミセス・ナーク」の意だ。本来のタイ語の「ナーク」の綴りは「นาค」。しかし、本作ののタイトルは「นาก」となっている。これは、監督の今までの「ナーク」とは違うのだよというサインなのかもしれない。
 この題材は、過去に何度も映画化やTVドラマ化されている。予備知識なしにこの作品を観ると、最初は夫婦愛を描いた作品かな?という感じなのだが徐々にこれってもしかしてホラー?という感じになってくる。また、ラストは葬式仏教を信じる(あまり信心深くない)日本人が観ると、この作品のラストは弱く感じるかもしれない。だが、タイの作品では、多くの作品で仏教が問題を解決してくれるのだ。
 映像はとても美い。ホラー作品らしからぬ、自然に囲まれた運河が流れるのどかな風景がとても魅力的だ。バンコク周辺にはいい場所がなかったので、チャチューンサオ県(スワンナプーム国際空港の近くにある)で撮影された。また、木造の家屋は撮影のために建設をしたそうだ。
 ちなみに、物語の舞台は1868年バンコクのプラカノーン区となっている。現在では、プラカノーン区ではなくスアンルアン区にあたる。この地区には、ワット・マハーブットという作中でマークが逃げ込んだ寺院が現存している。そして、そこにはナークが祀られ現在でも信仰を集めている。また、最後に出てくる高僧のいるワット・ラカンとその高僧も実在している。
 作品の冒頭で雲がお腹を壁に打ち付けるシーンが出てくるが、あれはタイの迷信で、あのようなことがあると愛する人が亡くなったり、事故に遭ったり、不幸が訪れると言われているのだそうだ。
 この作品はタイ映画史上に名前を残す大ヒットをした作品で、興行収入150百万バーツというとてつもない記録を打ち立てた。これは、公開時、外国作品をも含めてタイ映画史上最高の興行収入記録の樹立となった。当時、粗製乱造に明け暮れていたタイ映画界はどん底の低迷にあえいでいた。外国映画に押され、国内映画に客が入らなくなっていたために最盛期は年間100本を大きく上回る数の作品が作られていたのだが、1999年の公開作品数はたったの10本になっていたのだった。そんな時、この作品がタイ映画界を救ったのだ。「タイ映画でも、いい作品なら観客が観に来る」ことが証明され、タイ映画界はこれを契機に復活していった。
 この作品が、どうしてここまで受けたのか?もちろん、作品自体のすばらしさもあるが、コメディー的要素を完全に排除したということも大きかったのではないだろうか?当時のタイ映画には、ほとんど全ての作品といっていいほどコメディー的要素が入っていた。ホラーでも、悲恋物語でもだ。そして、映画製作者たちはその場その場で笑いを取ることに力を注ぎ、作品全体のストーリー展開をあまり考えていなかったような気がする。
 また、本作では、ナークが村人を襲う際姿を見せていないのもいい方に出たと思う。なぜなら、もし霊と化したナークが今までの作品のように姿を現し村人を襲っていたなら、怖さ、映像の美しさが半減していたに違いない。なにせ、タイ・ホラーのメーキャップは悲惨で、怖くなくコメディーを観ているようなメーキャップなので。
 ヒロイン「ナーク」役のインティラー・チャルーンプラは、撮影当時18歳。TVドラマへの出演経験は持っていたが、これが映画デビュー作である。なんでも、3000人もの候補者の中から選ばれたのだとか。彼女の父は有名な映画監督で、日本の映画祭でも上映されたチンタラー・スッカパットが主演した「メナムの残照(クーカム/Khuu Kham (Fate))」<1988年>を監督したルット・ロンナポップだ。また、彼女は「ファイターズ・ブルース(Fighter's Bruse)」<2000年/香港映画>では常盤貴子と共演し、「ブロークダウン・パレス(Brokedown Palace)」<1999年/アメリカ映画>などにも出演している。日本でDVDかされているタイ映画「キング・ナレースアン(King Naresuan)」シリーズで、少数民族の弓を操る女戦士を演じているのも彼女だ。彼女の姉は、歌手のマイ・チャルーンプラ(ใหม่ เจริญปุระ)。
 第44回アジア太平洋映画祭グランプリを初め、第29回ロッテルダム国際映画祭NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)など数々の賞を受賞している。また、1999年度のスラサワディー賞では作品賞を受賞している。タイのエンターテイメント・サイトSiam Zoneのユーザー評価では、9.67点(満点は10点。投票数9。2013年3月現在)であった。
 ノンシー・ニミブット監督の作品には、日本でも公開された「ジャンダラ 背徳の情事(Jan Dara)」<2001年>、映画祭で上映された「ランカスカ海戦 パイレーツ・ウォー(Queens of Langkasuka)」<2008年>、DVD化された「THREE 死への扉(THREE)」<2002年>や「ディストーション(Distortion)」<2012年>、「オーケー・ベートン(OK Baytong)」<2003年>、「ダン・バイアリーズ・アンド・ヤング・ギャングスターズ(Dang Bireley's and Young Gangsters)」<1997年>、TVドラマ「ヌア・メーク 2 ムープラープ・チョームカマンウェート(Nua Mek 2 Mue Prab Jom Kamangwet)」<2012年>、「ヌア・メーク(Nua Mek(Beyond Comparison))」<2010年>などがある。



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Author:asianet
 初めてタイ映画を見たのは、東京の渋谷で行われたタイ映画祭。そこで「サラシン橋心中」など社会派作品を見てタイ映画もやるもんだと思ったのですが、その次にタイ映画に出会ったのは何年も後のことで国際線の飛行機内でやっていた「マッハ」。これすごいぞと思ったのでずか、そこまででした。そして仕事の関係で「アタックナンバーハーフ」を見なければならなくなり、いつの間にかタイ映画に病みつきに・・・。

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