連続講義「怪奇映画天国アジア」第5回「タイ人が本当に怖いと思うのは、どのような映画か」へ行ってみた

連続講義「怪奇映画天国アジア」

第5回「タイ人が本当に怖いと思うのは、どのような映画か」へ行ってみた


TheUnseeablePoster2.jpg
「見えざる者」


 ご参加されたT.M.氏にご執筆いただきました。

(注意:下記の内容には、映画内容の完全ネタバレが含まれています)
 先日、四方田犬彦氏の『連続講義「怪奇映画天国アジア」第5回「タイ人が本当に怖いと思うのは、どのような映画か」』へ行って来ました。主催はアテネ・フランセ文化センターとアップリンク、協力は白水社となっています。以前からこの催しのことは知っていたのですが、スケジュールが合わず参加したのは今回が初めてです。
 今回の会場は、東京・渋谷のアップリンクでした。座席数は全部で約60程度。料金は1,600円。スクリーンは小さいです。会場への入場は、まずインターネットで予約した人からでした。この時点で埋まったのは20人程度。ですが、当日券での入場者で、席はすべて埋まってしまいました。無名の作品でこれだけ埋まってしまうのはすごいですね。四方田氏の人気なのでしょうか?
 今回は、日本で公開もDVD化もされていないタイ映画の「見えざる者(アンシーアブル/The Unseeable)」<2006年>を観ることができるということ、そして、講演の内容が「タイ人が本当に怖いと思うのは、どのような映画か」であるということにとても興味をひかれたのです。作品には、英語と日本語の字幕が付いています。でもすごいですね。DVD化されていないわけですから、この上映のためだけに日本語字幕を付けたことになります。採算が合うのでしょうかね。
 上映された作品はすばらしかったです。特に、最後の種明かしというか三重四重五重のどんでん返しは、タイ映画らしからぬ見事さでした。作品の途中で、屋敷に住む謎の女主人が部屋に男をかこっているようだという話が出た時、一部の観客はぴんときたでしょう。そう、それは、主人公の夫を探している女性ヌアンチャンの夫なのではないかと。ですが、そんなことは、この作品にとってサプライズではなかったのです。本当のサプライズは、何重にも仕掛けられ作品の最後に待っていました。本当に、いい作品を上映していただいたと思います。
 作品上映後に、四方田氏の講演がありました。この方がどういう方なのか、ほとんど知りません。ただ、著書の「怪奇映画天国アジア」は読んでいました。最初に四方田氏から今回の公演は二部構成だとの説明があり、最初は「タイ人が本当に怖いと思うのは、どのような映画か」と本作の監督である「ウィシット・サーサナティアン」について。次に、「タイ人がだれでも憧れる女優のチラナン・ピットプリチャー」のことだとのこと。
 講演をお聞きしていて思ったのは、何だか大学の講義を聞いているようだったということです。分かりやすく言うとかたいのです。確かに、著書「怪奇映画天国アジア」もかたかったです。それと、レベルがかなり高いのです。それなりのタイに関する知識がないと付いていけません。途中で、四方田氏も少し気にしていたようです。「ここに来られるような方は大丈夫ですよね」というようなことをおっしゃっていましたが、そんなことないと思いますよ。
 それから、内容をお聞きしていて、正直、いろいろな意味で?なところも多々ありました。後に四方田氏のことをインターネットで少し調べてみると、そうなのかもしれないなということが出てきましたが、実際はどうなのでしょうね?肩書は、映画評論家ではないそうです。今回の肩書は「映画研究者」となっていました。氏は、映画関係だけでなくいろいろな本を書かれています。賞も複数回受賞されているようです。
 さて、話を少し戻します。氏は今回の上映作の「登場人物たちの正体は観る人によって違う。いろいろな解釈のし方があると思う」という内容をおっしゃっていました。これに関しては、個人的には?です。普通に考えて、女主人以外の登場人物は全員幽霊です。それ以外にどう考えることができるのでしょう?そして、「あの老婆はだれなのだ?」とおっしゃっていましたが、それははっきりしているでしょう。老婆は「私の子供を返して」と言っていたのです。子供は箱の中に入っていたのですから、女主人が幼い時に箱に閉じ込め殺してしまった妹(作中では、妹かどうかは語られていないが)です。老婆はその母親と推察されます。母親ということは、つまり、女主人の母親でもあります。個人的には、疑問の余地はないのですがね。
 それと、タイ映画のストーリーを論理的に解釈しようとする姿勢はかなり気になります。タイ映画のストーリーはとてもいい加減です。その登場人物の正体はだれなのかとか、どうしてそこにいるのかとか、どうしてその時そんなことが起こるのかなどということは、説明がつかなくて当たり前なのです。それにもかかわらず、氏はそれを考えようとしていると思います。タイ映画に詳しいのであれば、そんなことをしても無駄だということが…と思うのですが。
 次に、上映作の監督であるウィシット・サーサナティアンについての説明でした。この監督が作った「怪盗ブラック・タイガー(Tears of The Black Tiger)」<2000年>という作品の説明がほとんどだったのです。わざわざストーリーを詳しく説明されていましたが、なぜここでその作品のストーリーを説明する必要があるのでしょう?一方、この監督には、日本で劇場公開やDVD化されている「カメリア(Camellia)」<2010年/韓国、日本、タイ>、「シチズン・ドッグ(Citizen Dog)」<2004年>、「レッド・イーグル(Red Eagle)」<2010年>などの作品があります。これらは、名前さえ出てきませんでした。
 また、この部分でノンシー・ニミブット監督の「ダン・バイアリーズ・アンド・ヤング・ギャングスターズ(Dang Bireley's and Young Gangsters)」<1997年>にも触れました。私の記憶違いでなければ、氏は「この作品は、仏門に入るために剃髪して輿に乗っていた青年が、隠し持っていた銃で撃ちまくるというショッキングなシーンで始まる」とおっしゃっていました。しかし、実際は、「剃髪した青年は輿に乗っておらず、爆発が起こり青年は銃を握りますが発砲していません」。作品のラストでは、輿に乗っていたところを襲撃され銃で撃ち返しますが、銃は隠し持っていたものではありません。仏門に入るのに銃を持っていたら、大変なことになりますよね。
 そして次は、チラナン・ピットプリチャーについてです。氏は確かに、最初にこの人のことを女優と言っていました。分かりやすく言うと、この方は元革命家、現写真家といったところでしょうか?氏によると「タイ人みんなが憧れる容姿の?女優?」とのことだったのですが、何か映画にでも出演しているのでしょうか?その辺のことは私には分からないのですが。
 で、女優さんの話かと思って聞くと、元革命の志士で、詩人でもあり・・・だったのです。そして、ある意味この方の青春時代を描いた自伝的映画である「ムーンハンター(The Moonhunter)」<2001年>を、一部映像を交えて解説されました。氏ご自身もホラーとは関係ないとおっしゃっていましたが、ホラーの講演を聞きにきた身にとってはなぜ?ということになります。なんでも、氏は彼女の詩集を翻訳して出版されたいのだそうで、その熱い思いがそうさせたのかもしれませんが。
 今回は、映画には大満足、講演には?でしたが、良かったと思います。次回も、上映される作品によっては観に行きたいと思っています。(文章:T.M.)

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Author:asianet
 初めてタイ映画を見たのは、東京の渋谷で行われたタイ映画祭。そこで「サラシン橋心中」など社会派作品を見てタイ映画もやるもんだと思ったのですが、その次にタイ映画に出会ったのは何年も後のことで国際線の飛行機内でやっていた「マッハ」。これすごいぞと思ったのでずか、そこまででした。そして仕事の関係で「アタックナンバーハーフ」を見なければならなくなり、いつの間にかタイ映画に病みつきに・・・。

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