タイの映画会社「M-Thirtynine(M39/M๓๙)社」を思う

タイの映画会社「M-Thirtynine(M39/M๓๙)社」を思う


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「32 デッセンバー・ラブ・エラー」


 今回は、映画会社のM-Thirtynine社(M39社)にスポットを当ててみました。


 今思えば、M-Thirtynine社のデビューは鮮烈でした。2009年も押し迫った12月31日に同社の第一号作品「32 デッセンバー・ラブ・エラー(32 December Love Error)」を公開し、US$317万という大ヒットを飛ばしたのです。
 翌2010年には、四本もの作品を公開します。最初の三本は平凡な数字に終わりますが、年末作品の「ルーザー・ラバー(Loser Lover)」がUS$409万という大ヒットとなります。ここからがM-Thirtynine社の快進撃の始まりでした。
 2011年には、「ラブ・チュリンシー(Love Julinsee)」US$151万、「30 カムラン・チェーオ(30 Kam Lung Jaew)」US$236万と連続ヒット。そして年末作品の「バンコク・スウィーティー(Sor.Kor.Sor.Sweety)」もUS$278万とヒットし好記録を出しました。
 2012年に入ると、「バレンタイン・スウィーティー(Valenine Sweety)」US$199万、「アイ・ミス・ユー( I Miss U)」US$140、「サラネアおせっかい(Saranae Osekai)」US$130万と連続ヒットを飛ばしますが、US$200万を超すことができず少々頭打ち感が出てきました。しかし、またしても年末作品の「クン・ナーイ・ホー(Khun-Nine-Ho)」で、US$323万という大ヒットを飛ばします。これで再び快進撃が始まるかとも思ったのですが、そうは問屋が卸しませんでした。
 2013年のトップバッターは、大作「メナムの残照(サンセット・アット・チャオプラヤー/クーカム/Sunset at Chaophraya)」でした。おりしも、この作品よりも一週間早く公開された最大のライバル社であるGTH社の「愛しのゴースト(ピー・マーク/ピー・マーク プラカノーン/Pee Mak Phra Kanong)」が、タイ映画史上最高の興行記録を樹立することになる時です。大作「メナムの残照」は大宣伝をかけました。予告編を観た限り、かなりすごい作品に仕上がっているぞと思わせました。公開直後はかなりいい数字を挙げたのですが、観た人たちの作品の評判が思いのほか悪かったため、公開後二週目に数字が急降下してしまいました。結局、数字はUS$164万までしか届きませんでした。これは、数字的にはヒットといえますが、大ヒットということはできません。製作費もかなりかかっているでしょうから、興行的には失敗作と言えると思います。今思えば、ここからM-Thirtynine社の凋落が始まったような気がします。
 続く「Hプロジェクト(ハシマ・プロジェクト/H Project/Hashima Project)」では、なぜかいつもの大宣伝を繰り広げませんでした。公開スクリーン数も、いつもより少なかったです。ですが、結果は、ぎりぎりヒット・ラインであるUS$100万超えのUS$116万でした。そして期待の年末作品「ファット・チャン・ト(Fud Jung To)」ですが、US$177万しか上げられませんでした。年末作品としては、初のUS$200万割れとなってしまいました。この2013年は数字が伸びず、M-Thirtynine社にとって厳しい年だったと思います。ですが、2011~13年は、GTH社と並んでM-Thirtynine社がタイ映画界を引っ張っていたことは確かです。
 翌2014年、この年の第一弾目である「マン・プリーアオ・マーク(Mun Pleaw Mak)」を、いつものように大宣伝をかけて送り出したのです。ところがです、惨敗も惨敗、数字にならないのです。数字が小さ過ぎるせいか、記録も出てきません。おそらく、US$5万(桁は間違っていません)以下です。興行収入がUS$100万より下回ったのは、2010年以来のことでした。ここまで、11本連続でUS$100万以上というヒットを連発していたのですが、その記録がまれに見る悲惨な記録で途切れてしまいました。そして、その約一ヵ月後には、「クワーム・ラップ・ナーン・マーン・ラーイ(Khuwam Lap Nang Man Rai)」を公開しますが、またもUS$100万割れでUS$72万までしかいかずヒットとはなりませんでした。そして、年末作品の「ラブ・オン・ザ・ロックス(Love On The Rocks)」です。この作品には、スーパースターの大人気女優マーチャー・ワタナパーニット(ピム・ワタナパーニット/マーシャ/Marsha Wattanapanich)を起用してきました。彼女はもう若くはありませんが、集客力抜群の人です。現状を打開するための救世主として彼女を起用したという感もありました。しかしです、作品に「18禁」という年齢制限をかけられてしまったせいもあるのですが、US$42万にしかならなかったのです。M-Thirtynin社の落ち込みは、もう止めることはできなくなっていました。
 2015年の第一弾である「ミス・ハッピー(Miss Happy)」はUS$54万という平凡なものでした。そして、コンピューター・グラフィックを駆使した「チョー・フア・テーン・モー」は、US$210という桁が三つも違う前代未聞の低数字に終わりました。この年は「スター・ウォーズ/フォースの覚醒(Star Wars: The Force Awakens)」があったからでしょうか、年末ではなく12月3日に「シニアー(ルン・ピー/Senior)」が公開されました。数字はUS$700,200と、ヒットとはなりませんでした。
 2016年の第一弾はホラー「ゴースト・イズ・オール・アラウンド」でしたが、さほど評判にもならずUS$488,100と沈没してしまいました。続くホラーの「マハーライ・ティアン・クーン」もダメでした。年末には人気女優のアーラヤー・エーハケート(チョムプー)を主演に据えた「アイ・ラブ・ユー・トゥー」を公開しましたが、やはり平凡な数字に終わってしまいました。



 M-Thirtynine社は、一体どうしてしまったのでしょうか? 原因は、はっきりとは分かりません。M-Thirtynine社の作品の特徴として、あまり評判が良くない割にはいい数字を上げていたということが挙げられます。そのことがちょっと不思議だったのですが、だんだんと観客がM-Thirtynine社の作品(特にコメディーですが)に飽きてきてきたのかもしれませんね。
 それにしても悲惨な状況です。さて、三年後にM-Thirtynine社は生き残っているでしょうか? (2016年12月現在)



[数字は興行収入、※印は年末作品]

◆2016年
「ゴースト・イズ・オール・アラウンド(11-12-13)( Ghost is All Around(11-12-13))」 16.27百万バーツ(US$488,100)
「マハーライ・ティアン・クーン(Mahalai Tiang Kuen)」 9.25百万バーツ(US$277,500)
※「アイ・ラブ・ユー・トゥー(I Love You Two)」 17.88百万バーツ(US$536,400)

◆2015年
「ミス・ハッピー(Miss Happy)」 18.21百万バーツ(US$540,630)
「チョー・フア・テーン・モー (ソーシャル・ネットワーキング・スパイ/Joe Hua Tang Mo/The Social Networking Spy)」 0.07百万バーツ(US$210)
「シニアー(ルン・ピー/Senior)」 23.34百万バーツ(US$700,200)

◆2014年
「マン・プリーアオ・マーク(Mun Plaiw Mak/Paranoid)」 US$50,000以下?
「クワーム・ラップ・ナーン・マーン・ラーイ(Khuwam Lap Nang Man Rai)」 US$726,759
※「ラブ・オン・ザ・ロックス(Love On The Rocks)」 14.60百万バーツ(US$423.800)

◆2013年
「メナムの残照(サンセット・アット・チャオプラヤー/クーカム/)Sunset at Chaophraya」US$1,646,962
「Hプロジェクト(ハシマ・プロジェクト/H Project/Hashima Project)」 US$1,165,031
※「ファット・チャン・ト(Fud Jung To)」 US$1,772,041


◆2012年
「バレンタイン・スウィーティー(Valentine Sweety)」 US$1,991,757
「アイ・ミス・ユー(I Miss You)」 US$1,408,698
「サラネアおせっかい(Saranae Osekai)」 US$1,300,181
※「クン・ナーイ・ホー(Khun-Nine-Ho)」 US$3,232,090


◆2011年
「ラブ・チュリンシー(Love Julinsee)」 US$1,515,045
「30 カムラン・チェーオ30 (Kam Lung Jaew)」 US$2,363,012
※「バンコク・スウィーティー(Sor.Kor.Sor.Sweety)」 US$2,788,735


◆2010年
「ビッグ・ボーイ(Big Boy)」 US$356,925
「ザット・サウンズ・グッド(That Sounds Good)」 US$516,604
「エイチ・ツー・オー(H2-Oh)」 US$638,582
※「ルーザー・ラバー(Loser Lover)」 US$4,098,465


◆2009年
※「32 デッセンバー・ラブ・エラー (32 December)」 US$3,177,714

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 初めてタイ映画を見たのは、東京の渋谷で行われたタイ映画祭。そこで「サラシン橋心中」など社会派作品を見てタイ映画もやるもんだと思ったのですが、その次にタイ映画に出会ったのは何年も後のことで国際線の飛行機内でやっていた「マッハ」。これすごいぞと思ったのでずか、そこまででした。そして仕事の関係で「アタックナンバーハーフ」を見なければならなくなり、いつの間にかタイ映画に病みつきに・・・。

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