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良いときはきっと来る。愛していいのか?愛されていいのか?

イット・ゲッツ・ベター/It Gets Better


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 第三の性を扱ったドラマ。最初、性のマイノリティーに関する三組のカップルのオムニバス・ラブ・ストーリーかと思ったら、そうではなかった。全体がひとつの物語だったのだ。この作品のすごいところは、このストーリー構成のみごとさにある。最後の方で、なるほどこういうことだったのかと分かるのだが、それまでが分かるようでわからない。そのため、少々登場人物の人間関係が分かりにくいが、これは仕方ないであろう。基本的に三つのラブ・ストーリーなのだが、それらが交わらなさそうで交じわる絶妙の構成がとてもすばらしい。それほどダイナミックなストーリー展開はないが、観客を物語の中に引き込んでいく力がある。よくありがちな、軽いタッチのオカマさん映画とは全く違う。ただ、多くのタイ映画かそうであるように、最後を簡単に終わらせてしまっているのは残念。あそこまで盛り上げたのに・・・、という感じだ。特に、父親が強盗に襲われるシーンの演出は情けない。あそこはひとつの見せ場のはずだ。だが、十分に見ごたえのある作品である。
 タイのエンターテイメント・サイトSiam Zoneのユーザー評価では、9.48点(満点は10点。投票数50。2012年6月現在)であった。この手の作品には熱烈なファンがいて得点を引き上げている可能性があるが、かなりの高得点といえる。興行的には、興行収入US$227,000と沈んでしまった。
 トンマイが心ひかれるニューハーフの役で登場するナンティター・カムピラーノン(Belle)は、TVのタレント発掘番組「Thailand's Got Talent」出身のトランスジェンダー歌手だ。結構人気があり、女性と男性の声色を使い分けることができ歌唱力もある。本作ではいかにもニューハーフという感じなのだが、撮影の仕方によっては完全に女性に見える美形である。彼女?は映画初出演で、キス・シーンもある。彼女は、主題歌「マイ・ダイ・コー・ハイ・マー・ラック(ไม่ได้ขอให้มารัก)」も歌っている。
 英題でもある「イット・ゲッツ・ベター(It Gets Better)」しは、「良いときはきっと来る」というような意味だ。ゲイであることを理由にいじめを受けたり、ゲイではないかと同級生に疑われて自殺をする青少年が続出したために、それを防ぐことを目的にアメリカの作家ダン・サベージ(Dan Savage)が始めたプロジェクト名とかけているようだ。
 タンワーリン・スカピシット監督には、「ハック・ナ サーラカーム(Hug Na Sarakham)」<2011年>などの作品がある。そういえば、この作品にもオカマさんとか同性愛者が登場していた。この人は、トランスジェンダーらしい。


【ストーリー】(ネタバレあります。※この作品はストーリー設定がちょっと特殊で、人物設定を誤解していたらごめんなさい)
 ストーリーを作中の順番ではなく、時系列で解説すると以下のようになります。ディン(パーウィット・サップルンロート)は、少年期に女性の服を着て踊っているところを父親に見られ出家させられてしまう。しかし出家はしてみたものの、寺では指導役の若い僧(クリッサタチャーポン・タナナーラー)に恋心を抱いてしまう。
 還俗して女性と結婚するが、妻の妊娠中に妻の服を着て踊っているところを見られてしまう。妻は彼と別れ、一人で子どもを産むことに。
 一方、彼(容姿は女性だが)サーイターン(ペンパック・シリクン)は、パタヤーでキャバレー・ショーの店を開き成功する。そして、遠い昔に勘当された父を一目見ようと父の元へ行くが、父が強盗に襲われているのを救おうとして殺されてしまう。
 サーイターンが死んでしまったため、別れた妻が育てた留学中の息子トンマイ(パーヌポン・ウォラエークシリ)が店を引き継ぐか処分するかを決めるために帰国する。店に行くと、疑問を持ちながらもニューハーフのトンリウ(ナンティター・カムピラーノン)に心揺らぐ自分に気付く。そして、店は・・・。

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テーマ : アジア映画
ジャンル : 映画

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傑作ですよね

サーイタイとディンは同一人物と思ってました。もう一度見直してみます。いやぁ~、いい映画ですよね。脚本、編集、役者、もちろん監督も素晴らしい。今年鑑賞のタイ映画では、今の所ダントツのNo.1です。映像も綺麗です。

Re: 傑作ですよね

(少々長くなりますが。そしてネタバレもありますので)
 この作品、失礼な言い方かもしれませんが拾いものでした。全く期待していませんでした。ただ、ベルが見たかっただけなのです。この人、最近タイで騒がれた「TVで上半身裸になった事件」が起こったタレント発掘番組「Thailand's Got Talent」出身の人です。本作ではいかにもという感じなのですが、グラビアなどで見ると生まれながらの女性そのものです。

> サーイタンとディンは同一人物と思ってました。もう一度見直してみます。
→これ、分かったら教えてくださいね。なにせ、英語字幕なしのタイ語音声で見ているのでわからない部分も多いです。いくつかの参考サイトを読んだのですが、いろいろと違ったことが書かれており、中には「3組のカップルの物語」などと書かれているものもありました。で、あるサイトに、「サーイタンは自分と似ている環境のディンに・・・」と書かれていたのです。たしかに、サーイタンとディンが寺院ですれ違うシーンもあったりしましたしね。でも、父親が見ていたサーイタンの子供の頃の写真に写っているのはディンではないかと。それと、サーイタンとディン、名前が違ってますよね。でも、容姿が男性から女性に変わったのですから、ニックネームもその関係で変わってもおかしくないし…。

 サーイタンおばさんでさえ、私は(役として)女性だと思っていました。作中で自分のことを「ガトゥーイ(オカマ)」と言っていたので、「えっ?」となったわけで。とにかく、途中までは、完全にこの作品の作者の術中にはまりだまされていました。つまり、ひとつのストーリーではなく、三つのストリーが混ざりながら展開するオムニバス作品だと思っていたのです。
 だいいち、サーイタンを演じたペンパック・シリクンさんって女性ですよね(つまり生まれながらの)?彼女がニューハーフの役をやっているのでよけいややこしいです。彼女の経歴を調べていて思ったのですが、ニューハーフの方の性別ってどうなっているのでしょう?「女性」となっていても、その方に敬意を表して女性なのか、それとも生まれながらの女性なのか?

 作品の冒頭で、青年トンマイが空港で出迎えのオカマさんたちに囲まれた時には、いつものこの手の作品であろうと思ったのですがね。とにかく、タイでは珍しいよくできた脚本の作品でした。

たぶん

私は英語字幕付で観たので、たぶん同一人物かと。ただ、指摘のシーンは私も気になっていました。
この映画はエスペランサで観たのですが、チケット購入時は、この作品と気づかなかったです。他では英語表記タイトルだったのが、タイ語タイトルのみでしたから。映画館にはいる時ポスターでようやく気がつくありさま。
ペンパックはこの作品の後、SHE、HOMEとオムニバス映画に出ています。彼女の懐かしのCD.VIDEO.カセットを探しているんですが。部屋の何処かにあるはずなんだが。

Re: たぶん

 やはり、同一人物とみるのが素直かもしれませんね。それにしても、ペンパック・シリクンは数多くの映画やTVドラマに出演してますね。それにセクシー・モデルもやっているみたいだし。

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プロフィール

asianet

Author:asianet
 初めてタイ映画を見たのは、東京の渋谷で行われたタイ映画祭。そこで「サラシン橋心中」など社会派作品を見てタイ映画もやるもんだと思ったのですが、その次にタイ映画に出会ったのは何年も後のことで国際線の飛行機内でやっていた「マッハ」。これすごいぞと思ったのでずか、そこまででした。そして仕事の関係で「アタックナンバーハーフ」を見なければならなくなり、いつの間にかタイ映画に病みつきに・・・。

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